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マツダロードスターの評価について元マ〇ダ社員が個人的に語ってみる

マツダ「ロードスター」が、この世に生まれて世界のライトウエイトスポーツカー市場は大きく変わりました。

国内メーカーのみならず、輸入車ブランドも大きく影響を受けます。

 

90年代以降、次々にロードスターを追うように各社が市場に投入していきました。

 

  • ライトウェイトスポーツ
  • 2シーター
  • オープンカー
  • リヤ駆動(FR/MR等)

 

こういった、ニッチな市場はクルマ好きの熱い心を今も昔もくすぐるジャンルのひとつです。

しかし、どんな名だたる自動車メーカーと言えどもロードスターには勝てなかった。

 

…こう言い切ってしまうのは、それぞれのクルマに乗るオーナーさんに失礼に当たってしまいますし、好き嫌いもあるので適切な表現ではないかもしれません。

しかし、ロードスターは名実共に「世界で一番売れた(現在進行形で売れ続けている)2シーターのオープンカー」として、ギネスワールドレコードを更新し続けています。

 

そんなロードスターの深い魅力を、マ〇ダディーラーで11年間整備士をしてきたわたしが、個人的かつ主観的な視点で、気まま勝手に記事を書いています。

先に言っておくと、ロードスターのことを良いようにしか言っていませんので、批判的な意見をお持ちの方は回れ右していただいたほうが良いかもしれません(笑)

 

目次

歴代どのロードスターが優れているの?

引用元:https://www.mazda.co.jp/

 

これ、よく議論に上がる話題ですよね、どのロードスターが一番いいのって話。

結論から言うと、どのロードスターも優れていて素晴らしいです。

 

てかロードスターが好きなら、どのモデルのロードスターがいいとか悪いとか優劣をつけること自体が野暮なことです。

仕事上、すべてのロードスターにある程度乗ってきましたし、峠を駆ってきました。(運転が特別うまいわけではない)

 

どのロードスターもちゃんとロードスターです。

人馬一体です。

 

大型化して3ナンバー化されたNCロードスターは、一部の層から

「あんなのロードスターじゃない」

 

とまで言われていましたが、NCロードスターだってちゃんとロードスターです。

その理由について触れてみましょう。

 

NCはフォード傘下のマツダがプライドを守り抜いた傑作

引用元:https://www.mazda.co.jp/

 

NCロードスターがデビューしたのはフォードの影響力が、デビューする新車に大きく反映されていた2005年です。

ロードスターはフォードが本社を置く北米市場では「ミアータ(miata)」として販売されており、日本国内と同様に当時から多くのファンを獲得していました。

 

北米(アメリカ)のクルマ…とりわけスポーツカーと言えば、みなさんどんなイメージをお持ちでしょうか?

「モアパワー、モアパワー」

 

大排気量エンジンが代名詞で、フォードだとマスタングやダッジならばチャレンジャーなどが挙げられるでしょう。

マツダを手中に収めたフォードにとって、次期ロードスター(ミアータ)はそんな北米受けするハイパワー&ワイドなモデルであることを望みました。

 

しかし、日本国内に拠点をおくマツダがそんなことをすんなりと受け入れるでしょうか。

もちろん答えはNOです。

 

しかし、フォードによって財政状況の再建を図られている以上、「無理だ」「嫌だ」と机を蹴り上げるわけにはいきません。

とは言え、広島が生んだ世界に誇る名車ロードスター、マツダは日本のロードスターに誇りを持っています。

 

そして、そのロードスターはライトウェイトスポーツだからこその魅力です。

2015年、とあるメディアのインタビューで記事を抜粋します。

 

主査になることを言明されたときにはボディサイズがすでに決まっていただけでなく、タイヤサイズも200馬力を超すRX-8の足まわりをベースにしているため17インチになっていた。

またパーツの共有化だけでなくコストを下げるためにロードスターのアルミボンネットを鉄に変えろという意見まで出た。

軽量コンパクトが信条のロードスターは初代からアルミパーツを積極的に採用していたにもかかわらずだ。

しかし貴島さんはロードスター像を実現するために、なにより軽量化を推し進める。


引用元:https://gazoo.com/

 

NCロードスターの開発初期段階「よーいスタート!」の時点では、ライトウェイトスポーツからは程遠い条件であることが分かります。

しかし、フォードの言いなりになっていてはわたしたちが知っている・望むロードスターができないことは明白です。

 

広島のマツダメーカーの社員たちは、フォードによって決められた制約の中で「本気で」「諦めずに」、愚直にロードスターを作り上げたい一心で開発に臨みます。

その結果、ボディシェルは新開発の高張力鋼板を使うことでNBロードスターよりも軽量化することに成功しました。

 

引用元:https://www.mazda.co.jp/

 

それでも、まだ重たかった。

しかし、ここで円高という追い風が吹くことで25%の材料費の削減課題が開発陣に課せられました。

 

ん?追い風?

材料費削減されてそんなことができるの?

 

そう、できちゃったのです。

RX-8と共通のプラットホームを持つNCロードスターは当初、コスト削減のためにRX-8と多くの部品を共通化することが想定されていました。

 

しかし、それはもうロードスターではなくなってしまう。

そこで、ほんとうは足回り等ロードスター専用設計にしたかったのですが、そのために掛かる開発費がおおきく膨らんでしまう試算がゆえにそれが難しかった。

 

ところが、円高によりこれを利用しない手はないと開発陣は動きます。

円高状況において、工数(開発費)をかけてつくった専用部品のほうが当初のコストはかかるが、長いスパンで見ると収益を上げることができると。

 

これは実際に図面に専用部品をおこしたところ、うまい具合に25%のコストダウンになったことが効いています。

結果、NCロードスターには当初の予定にはなかった範囲で、多くのロードスターのためだけに開発された専用の部品が採用されることになります。

 

これらは、ロードスターらしさを失わないために必要だったものです。

フォード(アメリカ)からの制約のある中で、ひたすらに日本人にとってのロードスターを突き詰めて、勝ち取ったものとも言えます。

 

引用元:https://www.mazda.co.jp/

 

当初エンジンそのものも、さらに大きな排気量のものを搭載することがフォードからは求められていました。

モアパワー。パワーが足りない。

 

アメリカ人らしい発想ですね。

それ自体を否定する気は毛頭ありませんが、我々が想うロードスターらしくはないでしょう。

 

結果、2Lエンジンに落ち着いたのは、マツダ側がかなり食い下がった結果です。

親であるフォードから勝ち取ったマツダの魂です。

 

紆余曲折あり、デビューしたNC型ロードスター。

こんなバックボーンがあったことを知ってもなお、NCを批判する気になるでしょうか。

 

わたしはなりません。

マツダの、日本の、広島の…魂がこもった1台なんです。

 

そのことを、みなさんには知ってもらいたいです。

これらはメーカーの社員の方々(藤原大明神など)が、さまざまなインタビューなどで語っていることをソースに、わたしが個人的な想いを乗せて文字に起こしたものです(笑)

 

ちなみに、NC型ロードスターのRSグレードの車両重量は【1,100kg】です。

NB型ロードスターの最終型RSグレードの車両重量は【1,080kg】なので、その差はわずかに20㎏です。

 

3ナンバー化され、排気量も大きくなり重くなったと、イメージだけで言われがちなNC型ロードスターですが、衝突安全面でもより厳しい条件が求められる新型車において、先代モデル比たった20㎏の増量だけというのはやっぱりすごい話です。

 

個人的主観【各世代のロードスターの魅力】

NCの魅力・評価について深掘りしてところで、全モデルごとの評価をわたしの主観たっぷりに簡単に紹介していきましょう。

 

【NA】ロードスターの不完全さとリトラこそ病みつきに|ロードスターの原点

※購入当初のマイカーです!

平成初期のクルマと、いまの車を乗り比べると現在のクルマはしっかりしていて安心感があります。

NAロードスターは、ひらひらしていてどこか頼りないところがあってパワーもありません。

 

スポーツカーとしてはある意味、非常識とも言えます。

でも、これがいい。

 

ハンドルを握り、走らせるとクルマの挙動が手に取るようにわかるその感覚は病みつきになります。

古いクルマ特有のチープ感、頼りなさ…でも不完全だからこそ運転することが楽しいと感じるものです。

 

またリトラクタブルヘッドライトを採用できたのはNA型のみです。

お目めパッチリ、カエルみたいなそのフロントフェイスにも愛着がわきますね。

 

NBの部品の多くをそのまま流用できるのもgoodです。

 

【NB】NAの足りない部分を補った正常進化|1.6と1.8L両モデル選べる柔軟さ

 

NBロードスターは、その基本コンポーネントはNAを踏襲したものとなっています。

フルモデルチェンジによって各所さらにブラッシュアップされたNB型は、まさにNAの正常進化版ロードスターです。

 

さらにNA型では後期に1.8L化されましたが、1.6Lモデルを望む声が多く、NB型では2種類のエンジンを当初よりラインナップ。

 

  • 【1.6Lエンジン】は軽快で、NA時代の良さを持ったロードスター
  • 【1.8Lエンジン】後期型では可変バルタイ付きエンジンとなり最高出力160PSを誇り、速さを求めたロードスター

 

ターボモデルやクーペなど楽しみの幅を拡げつつ、精悍なフロントフェイスとグラマラスなボディラインでよりスポーツカーらしさ演出。

NAロードスターとは違った、見た目の魅力も十分な1台です。

 

【NC】RHT初採用|新たなユーザー層の獲得にも成功

引用元:https://www.mazda.co.jp/

 

2Lエンジンが採用されたNC型は、トルク感のある力強い走りが魅力です。

それゆえに楽に走れるので、ATでゆったりツーリングするにもピッタリなモデルです。

 

RHT車も、まさにそんなユーザーにぴったりな選択肢です。

NA/NBのときとは異なるユーザー層の獲得にも成功したと言えます。

 

また、曲線基調のNA/NBの歴代ロードスターを踏襲した、丸みを帯びたロードスターらしさのあるデザインですが、5ナンバー化によりワイドになったボディからはどっしりとした安心を感じることができます。

 

でも実際に乗って、ハンドルを握ればわかる。

初代に通じるロードスターらしさは、NC型も決して忘れていません。

 

【ND】4代目にして原点回帰|優等生

引用元:https://www.mazda.co.jp/

  • 歴代でもっとも全長が短い
  • 歴代でもっとも車幅が広い
  • 歴代でもっとも排気量が小さい1.5L
  • Sグレードは1t切りの990kg

 

ロードスター好きなら上の4つの特徴を聞いただけで、NDロードスターの魅力に納得せずにはいられないでしょう。

鼓動デザインによりカッコよく、精悍なデザインに生まれ変わったND型ロードスターですが、フェンダーラインはグラマラスで秀逸なデザイン。

 

2016年に「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞しており、そのデザインは世界規模で評価されるものであることが証明されています。

またこの年、「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」もW受賞。

 

W受賞は賞創設以来初のことであり、NDロードスターがデザインも中身も含めすべてにおいて、日本のみならず世界的にもっとも評価されるクルマのひとつであることは間違いないです。

 

 

原点回帰と、マツダの新世代技術「SKYACTIVテクノロジー」によって、わたしたちユーザーの思い描くロードスターが世に出たときはほんとうに感動しました。

そこには、開発陣の涙ぐましい努力と想いがあったと思います。

 

最新のクルマであり、昔のように他メーカー(フォード)からのしがらみもなくマツダが作りたいように作ったNDロードスターは優等生です。

しかし、良い意味で隙をつくってロードスターらしさを表現しているところはさすがです。

 

ワインディングを軽快に気持ちよく、人馬一体で走るにはすべてが完ぺきであるのは違うと思うんです。

また、たとえばマツダのほかの車種のエンジンのヘッドカバーが樹脂なのに対して、NDロードスターはアルミを採用している理由をご存じですか?

 

ユーザーが思い思いに加工したりできるように、あえてしてるんですよ。

こういう演出も憎いですね~。

 

そんなNDロードスターはイタリアの自動車メーカー【アバルト】にエンジン以外の部分をOEM供給しており、「124スパイダー」として販売されていました。

名だたるレースで活躍してきた欧州のアバルト(昔とは存在意義は違えど)が、日本のロードスターをベースにクルマを作らせてほしいとなったわけですから、やっぱりNDロードスターは「優等生」だけど「楽しい」「最高」なクルマです。

スポーツカーの灯を絶やさなかったマツダ

1989年の初代NA型ロードスターがデビューして以降、ロードスターはモデルライフを絶やすことなくフルモデルチェンジしてきました。

 

ヒロ
ヒロ

これって純粋にすごいことです

 

リーマンショック前後、またバルブ崩壊後の2000年代は各自動車メーカーの経営状態は決してよくありませんでした。

そんな状況下において、専用パーツが必要であったり販売台数が見込めないスポーツカーは、メーカーにとっては大きな負担でもありました。

 

たとえば、日本が世界に誇るトヨタですら2012年に86が出るまで、5年間ラインナップにスポーツカーと呼べる車種が存在しない期間がありました。

 

  • 2006年にセリカが生産終了
  • 2007年にMR-Sが生産終了

 

また、ホンダは

 

  • 2009年にS2000が生産終了
  • 2012年に欧州仕様のハッチバック型シビック タイプRが生産終了

 

2015年~にFK2型シビック タイプRが台数限定で販売されたものの、シビック タイプRが正式なラインナップとして復活したのは2017年です。

2015年にS660がデビューしているので、ホンダもおよそ3年間くらいは純粋なカーラインナップにスポーツカーが存在していませんでした。

 

ランエボで一時はラリー界を席巻した三菱は、近年では「コルト ラリーアートバージョンR」のような面白いホットハッチがあった時期もありましたが、2020年現在、セダンやクーペのラインナップすらありません。

スポーツカー好きにとっては、90年代に様々なメーカーから好みのスポーツカーを選りすぐりできた時代とは打って変わり、新車で買える国産スポーツカーなんて指折り数えるほどしかありません。

 

そんななか、ロータリーエンジンを搭載したRX-8は残念ながら2012年に生産終了して以降、排ガス規制の問題で内燃機としての復活はかなり厳しい情勢となっていますが、ロードスターはマツダにとって不遇の時代でも、その灯を絶やさず作り続けていきました。

トヨタやホンダなんかと比べると、マツダはちっぽけなメーカーです。

 

そんなマツダが、台数も売れなければ作り続けること自体が会社にとっても負担であっただろうロードスターを、ずっとラインナップし続けたことは称賛に値することです。

ぜひ、マツダをロードスターを評価してあげてほしいですね。

 

筆者とロードスター

さて、誰も興味がないと思いますが、わたしとロードスターの関係にもすこしだけ触れておきたいと思います。

わたしが10万km以上乗った愛車は、平成3年式のNA6CEユーノスロードスター。

 

出会いは新卒でマツダディーラーに勤めだして、2ヵ月ほどたった頃でした。

もともと最終型のNB RSを探していたのですが、営業スタッフからひらりと舞い込んだ【車検受けた直後×自動車税も納税直後のNA6】を10万円でもいから、買ってくれる人がいないか探しているというおはなし。

 

距離は9万㎞、内外装ともにキレイでハードトップ付き

 

ヒロ
ヒロ

こんなん、買うしかないでしょう(笑)

 

そこから、わたしとロードスターのオープンカーライフははじまりました。

家庭を持ち、いまは乗っていませんが手放すのが惜しくて、母方の実家に一時抹消して置いてあります。

 

毎週のように峠に走りにいっていました。

関西では、舞洲で開催されていることで有名な「猛ドラ」でジムカーナをしたり、「マツダファン・サーキットトライアル」で岡山国際サーキットを走ったりしていました。

知り合いの方に借りてNAロードスターのN1レースカーを岡山で走らせてもらったこともあります。

多趣味なのと、現実派なのでどっぷりモータースポーツ三昧というわけではないので、遠征したりめちゃくちゃ速かったわけではありませんが、十二分にモータースポーツライフを堪能してきました。

仲間には、個性のあるNA~NCまでさまざまなロードスターがいました。

ですので、さまざまなシチュエーションでそれぞれのロードスターの運転や横乗りをしてきました。

もちろん、ディーラー整備士なのでロードスターのメンテナンスもたくさんしてきました。

ロードスターに乗ったひとって、あの感覚や開放感を忘れられないんですよね。

 

ロードスターを降りてはや5年…わたしもいつか、いや少しでもはやくロードスターにまた乗りたいと考えています。

なんなら、この記事を書きながらロードスターやっぱ最高‼…という気持ちが溢れてきて、なんとかNDロードスターが買って維持できる経済的余裕が生まれないだろうかと必死で考えています。

 

【35年ローンのマイホーム、子持ち、ディーラー整備士】

 

には、贅沢な夢かもしれませんが実現させたいですね。

 

最後に【マツダロードスターの評価について元マ〇ダ社員が個人的に語ってみる】

今回の記事はひじょうに主観な内容です。

中には、それは違うぞ!と噛みつきたい方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

でも、ロードスターが大好き・最高!

NAもNBも、NCもNDもぜーんぶがちゃんとロードスターで最高!!

 

という想いだけは受け取っていただけたらと思います。

マツダには世界に誇るロードスターという日本の資産を

 

《守り続けるために変えていく》

 

引用元:https://www.mazda.co.jp/

 

いつまでもロードスター大好きなわたしたちをワクワクさせてくれることを期待しましょう。

この記事を書いた人

元某国産ディーラー→現在は高級欧州車ディーラーの現役自動車整備士。
合格率3%とも言われるメーカー最上位資格を取得。

整備の技術・知識を競う全国大会にも会社代表で出場するなど、整備士としてやることはやりきってきました。

それらを活かしたカーライフに役立つ知識や、ライフスタイルに関する情報を発信しています。

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