冬場に凍結や雪の恐れのある地域に行くと、かならず撒かれている
塩カリじゃないよ
この融雪剤は、凍結防止にひと役かってくれてるありがたい存在で
そしてクルマにとって錆は大敵です。
アルト(HA24S・2004年式・17万km)のサビを突付いてみたら、サイドシルがこんなになってしまったw。寒冷地の塩カルの威力凄い。2重構造だし、アンダーフレームもしっかりしているので実用上あまり問題は無いけど。一応強度部材の一部だし他も錆が進行しているので、今年中に買い換えたいと思っている。 pic.twitter.com/vFHPGP4c1e
— モリタエイイチ(発信専用) (@lodgemotive) February 7, 2019
さまざまなトラブルを招いたり、下取りや買取時にクルマの価値を
この記事では以下のことを解説しています。
融雪剤(塩カル)でクルマに錆発生=手遅れと心得るべし
融雪剤(塩カル)の影響によって、クルマに発生しした錆はもうどうにもできません。
一度、発生した錆をきれいさっぱり0(ゼロ)にして、元通りにする方法なんてありません。
(とんでもなくお金をかけたら可能かもしれませんが、当然ながら現実的なものではありません)
今乗っている車、9月末車検なので馴染みのディーラーに車検の見積して貰ったら足回りの錆が半端なくて修理に70万掛かりますって言われた😱
— Hideki72kg (@hideki72kg) July 30, 2019
冬の間 高速使って釣行って塩カルですっかりやられたみたい。
こりゃ車買い換えだわ😭 pic.twitter.com/CsTPotv12M
現役整備士である、わたしから言わせていただくと
「すみませんがこれが現実です」
としか、言いようがないですね(汗)
しかも!!!
車検ごとの錆止め・防錆塗装や、新車購入時のアンダーコーティングをおこなっていても、ヒドイ錆の被害を受けているクルマも見てきました。(のちほど、そのときに撮影した実際の写真を公開)
各メーカーが採用しているノックスドール社の防錆コート
引用元:https://www.mazda.co.jp/
では、次に以下のことについて解説していきます。
融雪剤(塩カル)によるクルマの錆はどのような弊害があるの?
融雪剤(塩カル)による錆で浸食されたクルマには大きく以下のような不具合の発生が考えられます。
- ブレーキキャリパーの固着等によるブレーキ系統の不良(危険!)
- 部品交換(整備)時に、錆によってボルトが緩められない・折損等で二次被害が多発
- マフラー(排気管系統)に穴が開いて車検不適合
- 各所、錆で部品が劣化することでオイル漏れ等が発生する
それぞれ、さらにくわしく解説していきます。
ブレーキキャリパーの固着等によるブレーキ系統の不良
ブレーキの仕組みは一般的に、ドライバーがブレーキを踏む力に応じて、ブレーキキャリパーと呼ばれる部品内部に組み込まれているピストンを押し出します。
ピストンが押し出されることで、回転する円盤(ブレーキディスク)を、ブレーキパッドが両側から挟み込みます。
そこで発生する摩擦力により、ブレーキとしての制動力を得ています。
このブレーキの各部品はもちろん、金属製品によってつくられているので錆は大敵です。
ブレーキパッドを押し出すピストンや、ブレーキキャリパーを摺動させるためのスライドピンなどに錆が発生すると、最悪の場合、動くべき部品が固着によって動かなくなります。
また、ブレーキオイルの漏れの原因となることもあります。
そうなると、以下のような不具合につながります。
- ブレーキが効かない
- ブレーキが効きっぱなしになる
- ブレーキから異音が発生する
安全走行において非常に危険な不具合ですね。
余談ですが、京都府北部の降雪地帯に引っ越し、三菱のディーラーに転職した先輩は、毎月のようにブレーキの固着による修理のクルマが入庫すると言っていました。(担当整備は2~3台)
一方、神戸市内で働いていたときは年に1台、整備するくらいだったとのこと。(わたしもそうです)
やはり、融雪剤(塩カル)による影響が大きいと言えるでしょう
部品交換(整備)時に、錆によってボルトが緩められない・折損等で二次被害が多発
来客もあったけどダッシュでエンジンさいなら~🤭🤭
— しげさん[UNKNOWN] (@StJam6001mk2) October 7, 2019
予想はしてたけど錆でボルト折れまくり、固着しまくり。下回り錆びもチラホラ。
エンジンルームどうしよっかなー。 pic.twitter.com/DwqLfImNNC
わたしたち、整備士にとっても錆は大敵です。
- ボルトの頭の角が錆で朽ちてて工具がかけられず、ボルトを緩められない
- 錆で固着してボルトが緩まない
- その結果ボルトが折損してしまい、救出するために試行錯誤…
- サンダーでボルトを切断してしまう
- ガスバーナーで炙って錆を浮かしてから作業
- 使えなくなったボルト・ナットの代用品を探す
考え出すとキリがありませんし、幾度となく錆による二次被害で悩まされてきました。
とにかくこれによる影響は、マジでいいことがありません…。
FM横浜で流れる曲にノリノリで作業してたら手の入らない難儀な場所にある錆ボルトが折れて一転必死モード。
— はまちゃんの田舎暮らし (@hamachan045) September 4, 2019
2時間終了予定が5時間近くかかった(笑)
リビルド品とベルト代で12000円也
オルタネーター修理完了。 pic.twitter.com/IAxuy3b2es
- 整備時間が予定より長引いてしまい、お客さま(あなた)に迷惑がかかる
- 当初交換予定だった部品に追加して、ほかの部品の交換が必要になる
- その結果、部品代・工賃費用が余計に掛かってくる
マフラー(排気管系統)に穴が開いて車検不適合
マフラーも金属部品ですので、融雪剤(塩カル)による錆の影響を受けます。
マフラーに穴が開くと消音機能が維持できなくなるので、場合によっては暴走族の爆音マフラーのようになってしまいます。
ご近所さんの注目の的に(汗)
当家のダイハツ・ネイキッドは今年19歳になるピチピチ娘です。先日マフラーに穴が空いて爆音を発する不良娘になったご報告しましたが、継ぎ目が割れてたとのことで溶接して更生する事となりました。
— Motoki Aizawa (@Motoki_Aizawa) March 5, 2020
今厚生施設に入院中てす。早く帰ってこーい\(^o^)/ pic.twitter.com/5ZdKzA4t53
パテ埋めで修正できればそこまで高額な修理とはなりませんが、場所や部品によっては修理不可能な場合もあります。
その場合は部品代だけで数万円にも及びますので、痛い出費となってしましますね。
各所、錆で部品が劣化することでオイル漏れ等が発生する
ブレーキ系統の不具合のところでも解説したように、融雪剤(塩カル)による錆被害はオイル漏れの原因になることもあります。
オイルパンと呼ばれる、エンジンやAT(オートマ)などのオイルが溜まている部分も、使用されている素材によっては錆が浸食します。
最悪、穴が開く手前までくるころにはオイル漏れの原因となることもあります。
わたしも、上記の原因によるオイル漏れの修理経験があります
オイル漏れは以下のような問題を引き起こします。
- 車検に合格しない
- 漏れたオイルで敷地を汚してしまう
- 各部品の性能を正常に発揮できない
- 長期間放置しつづけることで、該当部品を新品に交換しなくてはいけなくなる
修理に数十万円の費用が必要となるケースもあるので、注意したいですね。
錆止めの塗装をしてるだけじゃダメなの?
融雪剤(塩カル)による錆被害がもたらす、クルマの不具合はある程度ご理解いただけたかと思います。
では、車検時や新車オプションでオススメされる防錆コートとは意味がないのでしょうか?
だって、対策ってそれくらいしかなくない?
では、わたしが実際に目にした
- 新車納車から丸2年
- 新車オプションの防錆アンダーコート実施済み
という車両の、実際の下廻りの状況を、あなたにも写真で確認してもらいましょう。
※画像をクリックすると拡大して見ることができます
かなり、ヒドイです。
納車から2年と言えばまだまだ新車も同然なくらいです。
普段は雪の降らない地域に住んでらっしゃるのですが、年に数回スキーに行っただけでこのような状態になってしまったようです。
しかし、新車購入時に高額な防錆アンダーコートをしているのに、このザマです。
やっていなかったら、もっと酷かったであろうことはもちろんのこと、防錆アンダーコートをしていても、融雪剤(塩カル)の錆被害からクルマを守れないのであれば、一体わたしたちはどうしたらよいのでしょうか。
融雪剤(塩カル)による錆からクルマを守るたった1つの最善の対策方法を解説
融雪剤(塩カル)による錆の被害は、塩カルそのものが悪いのかというと少し語弊があります。
錆発生のメカニズムを簡単に解説しましょう。
クルマに付着した水に塩カルの塩分が含まれていると、水分は蒸発しにくくなります。
蒸発しにくくなった水分がクルマの金属部分に、長期間残留することで錆が発生します。
最善の対策方法は【高圧洗浄の実施】
錆の浸食力の強さは先ほどの写真でおわかりいただけたでしょう。
防錆塗装ですら浸食していくのですから。
では、どうすればよいのか。ズバリ…
塩カル落としついでに、下回り安心点検。
— あすてぃ (@astimoemoe) January 27, 2018
やっぱり雪道走行で、アンダーカバーのクリップとか脱落もあるね。
このあと、高圧洗浄でガチ洗車! pic.twitter.com/l7Y82daIwj
高圧洗浄って、どこでどうやってやるの?
クルマの下廻りの高圧洗浄を実施するなら、大きく分けて以下の3パターンがあります。
- コイン洗車場にある高圧洗浄機を利用する
- ディーラー等のクルマ屋さんに持ち込む
- 自宅で自分で実施する
近くにコイン洗車場があれば、便利でいいですね
最寄りの洗車場を探す場合はこちら(洗車専科)から
使用可能時間等によっても変わってきますが、おおむね300~800円くらいが相場でしょうか。
洗車機でも【+200円】くらいで下廻りの高圧洗浄が選択できるものもありますが、細かい部分までできないのが難点です。
確実に高圧洗浄を実施したいのであれば、やはり手持ちで自分で行うタイプがよいでしょう。
また、ディーラーでお願いすると高いのでオススメしません。
わたしが以前勤めていた国産ディーラーでは、車検時のセットプランとして下廻り洗浄がありましたが【6,600円】でした。
やってることは車検場で自分でやるのと変わらないのに、あまりにも割高です…
個人的にオススメなのは以下の2点です。
- コイン洗車場にある手持ちの高圧洗浄機を利用する
- 高圧洗浄機を購入して自宅で自分で実施する
間違いなく、この2択が正解です!
マンションやアパート住まいであったり、駐車場が自宅ではなく月極で借りている場合などは最寄りのコイン洗車場を探してみてください。
しかし、洗車場はここ数年で廃業が相次いで、かなり減ってきています。
最寄りにコイン洗車場があるとも限りませんよね
もし洗車ができるくらいのスペースがある一戸建てにお住まいの方なら、高圧洗浄機を購入してしまうほうがコスパがよいこともあります。
なぜなら、高圧洗浄機が1台あれば愛車の下廻り洗浄だけでなく、単純に洗車や自宅の外壁やコンクリートの汚れを落とすことにも使えますからね♪
とは言え、安くても1.5万円~くらいはするので必要がなければコイン洗車場で十分でしょう。
ちなみにわたしは、新築の戸建てに引っ越したことを機に高圧洗浄機を購入しました
高圧洗浄機といえば、ケルヒャー等がメジャーで有名ですよね。
以下のヒダカの公式サイト なら、【取り扱いメーカー数11社】の国内の高圧洗浄機専門店だからこそできる
- 有名メーカーケルヒャーも含めた高圧洗浄機の比較・選び方
- 実際に使ってみた様子
などが、くわしく解説されています。
高圧洗浄機って、意外とさまざまなメーカーから販売されているので、ぜひしっかりと比較して、納得のいくモデルを見つけてみてください!
まとめ【車の錆を融雪剤から守るたた1つの方法を現役整備士が解説】
クルマの錆を【雪剤から守る】たた1つの方法は
【高圧洗浄機を使ってクルマの下廻りを洗い流す】
というのが答えです。
正直、面倒ではありますが、錆によって発生しうる不具合事例を目の当たりにしているわたしたち整備士からすると、背に腹は代えられなと思います。
昨日冬の京都府北部までドライブしてきましたが、天気が悪くクルマがドロドロに…。
雪は降りませんでしたが、まだ道路に塩カル成分が残っていたと思うので,この後帰宅したら、速攻でmy高圧洗浄機できれいにします(笑)