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クルマのブレーキ鳴き止め対策はあるの?治らない原因|現役整備士が徹底解説

クルマを走らせていて、気になるところがあるという方は少なくないでしょう。

たとえば、ブレーキ鳴きもそのひとつです。

特にブレーキはクルマの基本性能「走る」「曲がる」「止まる」の、「止まる」に直接的に影響があります。

安心なカーライフを送るための最重要部品であるゆえに、以下のように感じている方も多いでしょう。

  • ブレーキ鳴きが気になる
  • 鳴かないようにしてほしい
  • 雨の日の後によく鳴く
  • バックのときによく鳴く
  • ブレーキ鳴きは異常なんじゃないの?
  • ブレーキの残量は大丈夫?
  • ブレーキを緩く踏んだときに鳴く
  • ブレーキを強く踏んだときに鳴く

ひとえに、「ブレーキ鳴き」といっても、その悩みや不安は人それぞれです。

この記事ではクルマのブレーキ鳴き(とくにキーキー音)に関して、現役の整備士が端的に深堀り・解説しています。

はじめに、ざっくりと結論をお伝えしておくと、ブレーキ残量が減ってしまっている以外は、「正直言ってどーしようもない!!!」という場合がほとんどです!

イライラするオーナーのアイコン画像イライラするオーナー

どーしようもないのなら、もうえぇわ

…という方以外はどうぞ、読み進めていってくださいね。(笑)

目次

ブレーキ鳴き時のチェック第一段階!ブレーキの残量は大丈夫?

ブレーキ鳴きの原因は複数ありますが、みなさんが気にかかる要因のひとつは、ブレーキパッドの残量が少なくなってきたことを知らせるために「キーキー音」が鳴っていると、どこかで聞いたことがあるからではないでしょうか。

新品のブレーキパッドは車種にもよりますが、おおむね10mm程度の厚みがあります。

この厚み(残量)が3mmくらいになると、「そろそろ交換しないとダメだよ!」と愛車がドライバーに交換の必要があることを教えてくれます。

その方法としては主に以下の2パターンです。

  1. 金属のアタッチメント(シム)が、残量の低下に応じてブレーキローターに直接あたることで「キーキー音」を発生させる
  2. パッドセンサーが残量低下を検知して、主にメーター内やナビ画面(インフォメーションディスプレイ)に交換を促すメッセージや警告灯を表示する

ちなみに、このどちらにも該当しないパターンもあります。

その場合は、プロの整備士に確実にチェックしてもらえる車検・点検を定期的に受けることで、適切なタイミングで交換の提案を受けることになるでしょう。

稀に、正しい点検整備を受けないまま乗り続けて、ブレーキ残量が0になり、異音が発生&まともな制動力を得られないままに走行し、非常な危険な状態であることも。

整備士ヒロのアイコン画像整備士ヒロ

キーキー音など、ブレーキの異音を感じたときは、まずは馴染みのクルマ屋さんでブレーキの残量を点検してもらいましょう。

ちなみに一般的には、車検時の法定24か月点検、法定12か月点検と1年ごとの点検時、ブレーキ廻りに関しては要点検項目となっています。

ブレーキの残量に問題がないのにブレーキ鳴きが発生する理由

ブレーキ鳴きに悩むオーナーのアイコン画像ブレーキ鳴きに悩むオーナー

クルマ屋さんで、愛車のブレーキ残量を確認してもらったけど問題なかったみたい。

ほかに原因があるんじゃないの!?

ブレーキ鳴きにはさまざまな原因があるので、それらをひとつひとつ紹介していきます。

ブレーキに異物が噛みこんでいる

ブレーキに小石などの異物が挟まることが、ブレーキのキーキー音の原因のひとつに挙げられます。

さらに言うと、ツイートの写真のようになっていれば、走行中であればブレーキを踏んでいなくても「キーキー」という音が発生し、かなり煩わしいでしょう。

異物さえはずれれば、異音の原因はなくなるのでクルマ屋さんに持ち込んだころには症状の再現ができないこともあるので、点検の結果『原因不明だが、現状問題なし』として扱われることになるでしょう。

場合によっては、長時間にわたり異物が挟み込んだまま走行したことで、以下のツイートのようにブレーキローターにキズが入っていることもあります。

この場合は現状は正常であっても、異音発生時には異物が嚙み込みこんでいた可能性が高いことが予測できます。

異物がブレーキに噛み込んでいる場合は、取り除けばブレーキ鳴き解消。

紹介した小石以外にも、小枝など意外と異物の噛み込みはありえます。

ブレーキローターの摩耗

ブレーキは回転するブレーキローターを、ブレーキパッドで挟み込むことで摩擦によってクルマを減速させます。

ブレーキパッドは摩耗すれば交換が必要であることは知っていること方も多いでしょう。

一方で、ブレーキローターも摩耗するので、必要に応じて研磨や交換しなければいけません。

ツイートのような段付き摩耗は、元をたどればあまりクルマに乗らず、雨の後などにブレーキローターにサビが浮いたままになりがちのような使用環境のクルマに起きやすい症状です。

サビがヤスリ効果によって段付き摩耗を発生させますが、ブレーキパッドがブレーキローターにキレイに面で当たらないことで、「キーキー」「ゴーゴー」というブレーキ鳴きの要因となります。

一方で上記のツイートのように、単純に使用に応じてブレーキローターが摩耗していることもあります。

輸入車はとくに高性能なブレーキを採用しているクルマが多く、国産車とくらべるとブレーキパッドの摩耗が早いだけでなく、ブレーキローターも同時交換が必要なくらいに摩耗していることがほとんどです。

もちろん車種や、使用しているブレーキの材質によって一概には言えませんが、一般的には国産車はよほど走行距離の多いクルマでなければ、交換が必要なまでに摩耗していることはありません。

ブレーキローターが摩耗するとフチの部分がエッジが立ち、その部分が点でブレーキパッドと触れることで「キーキー」音が鳴ります。

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段付き摩耗は、そのほとんどが外的要因により発生しますが、単純なローターの摩耗は防ぎようがありません。

ブレーキローターの段付き摩耗は、ローターを交換すればブレーキ鳴き解消の可能性あり。

単純にローターが使用過程において摩耗しブレーキ鳴きが発生している場合は、実力。


どうしようもないのが正直なところ。輸入車に多く見られる原因。

ブレーキローター表面に錆が発生

先ほどのブレーキディスクが段付き摩耗する前の状態として、ブレーキローターの錆が浮いていることが挙げられます。

雨のあとなど、1~2日クルマを全く動かさなければ、鉄でできているブレーキローターは表面がすぐに錆びます。

その状態で走り出すと、その錆が「キーキー」音の発生原因となります。

ブレーキを踏んだときはもちろんのこと、錆の状態によってはブレーキを踏んでいなくても走行していればキーキー音が発生することもあります。

しばらく走行して、錆が落ちるとキーキー音が解消することもありますが、ブレーキ鳴きだけではなく制動力が落ちることもあるので、注意が必要です。

また、そのときすぐには不具合が発生していなくても、その後サビがボディブローのように効いてきて、ブレーキパッドの当たり不良が発生することもあります。

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人間が運動を怠ると体力が落ち、思うように体が動かせなくなるのと同じです。

クルマも定期的にしっかり乗って動かさないと、逆に部品の劣化を早めてしまうことがあることの良い例だね。

錆の侵食が浅ければ、走行することで錆が取れるとブレーキ鳴きが収まることも。

錆の侵食が深い、または長期間放置していた場合はブレーキ鳴きの解消は難しい。


また、錆の侵食は現在は問題なくても、後々にローターの段付き摩耗に繋がり、ブレーキ鳴きの原因となる場合もある。

鳴き止めシム・金具等の劣化

ブレーキシステムには、鳴き止め用のアタッチメント金具・シムなどがついているクルマもあります。

こうした鳴き止め予防用の部品やグリスなどは、各部品のキーキー音の発生原因となる、ブレーキ時の各部位の「共振」「接触振動」を抑える効果があります。

これらも、もちろん使用過程において新品時と同じ状態に保つことは難しく…

  • グリス切れ
  • シム(アタッチメント・金具)の劣化

…により、当初は発生していなかったブレーキ鳴きを引き起こす要因となる場合もあります。

上記のツイートでグリスを塗ってあるアタッチメント(金具)がありますが、これが劣化により割れた結果、それがブレーキローターに接触してキーキー音の発生原因となっていたクルマを、これまでに診断・整備したことがあります。

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そのような不具合やトラブルを未然に防ぐためにも、ブレーキパッド交換時には付随する、アタッチメント・金具・シムを、同時に新品交換したいですね。

ブレーキ鳴きの原因は、ブレーキ作動時の振動や共振が吸収しきれないことが原因の場合もある。

まずは必要箇所にグリスアップをすれば、ブレーキ鳴きが収まることもある。


わざわざ、ブレーキ鳴きのためだけに鳴き止めシム・アタッチメントの交換の必要はないが、ブレーキパッドやローターの交換時は、セットで同時交換推奨。

ブレーキパッド、またはローターの材質

一般的に、高性能なブレーキはとくにブレーキ鳴きを発生させやすい傾向にあります。

これは、ブレーキパッドやローターに含まれている材質の細かな違いが原因です。

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ブレーキが熱を持つまでの冷感時に、とくにブレーキ鳴きが発生しやすい!!

…とかも、高性能ブレーキパッド&ローターあるあるだね!

別にスポーツカーに乗っているわけでもないのに…という方もいらっしゃるでしょうが、輸入車は国産車と比べるとブレーキ性能を重視した乗用車も多く、一般的なクルマでもブレーキ鳴きを引き起こしやすい傾向にあります。

もちろん国産車でも、あえてそういった特性に振っているクルマもあります。

正直、このパターンでどうしようも処置・整備できないことが非常に多いです。

つまり、ブレーキ鳴きそのものが異常でも不具合でも、何か部品の劣化でもない。

正常作動範囲内で起きうること。

…なのです。

ブレーキパッド残量が少ないことを除けば、おそらくもっとも多いブレーキ鳴きの原因が、そもそものブレーキパッド・ローターの材質の問題。

正直、どうすることもできない。


ブレーキパッドの面取りや、ローターに直接鳴き止めスプレーを塗布する(非推奨)等で一時的に収まることもあるが、根本は素材の問題なのですぐにまたブレーキ鳴きは再発する。

そのほかの稀なブレーキ鳴きの原因

ここまで紹介してきたように、ブレーキ鳴きはブレーキローターもしくはブレーキパッドが発生源となっていることが多いです。

しかし、もちろんそれ以外の部分が原因であることも。

たとえば、ブレーキキャリパーという部品をみなさんご存じですか?

ブレーキを踏むと、ブレーキフルード(ブレーキオイル)がこのブレーキキャリパー内のピストンに作用します。

ブレーキフルードの油圧(圧力)でピストンが出ることで、ブレーキパッドがブレーキローターに押さえつけられます。

このブレーキキャリパー内のシール・ダストブーツが劣化したり、摺動部位(スライドピン)の動きが渋くなることで、ピストンがブレーキパッドを正常に押さえることができなかったり、シール・ダストブーツの劣化で振動や共振を吸収しきれないことが、ブレーキ鳴きの原因となることも稀ですがあります。

ただ、このブレーキキャリパーの各部位の劣化は、ブレーキ鳴き云々よりもブレーキの制動力そのものに問題をきたす可能性が高いです。

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かと言って、素人目に良否を判定することは困難です。

また、ブレーキキャリパーの整備や取り外しはおおむね分解整備に当たるります。

かならず信頼のできるクルマ屋さんでの点検をとおして、問題がないか確認をしてもらうようにしましょう。

まとめ【クルマのブレーキ鳴き止め対策はあるの?治らない原因】

ブレーキ鳴きにはさまざまな原因があります。

冒頭で、「バックのとき」や「ゆるくブレーキを踏んだとき」など、特定の状況で発生するブレーキ鳴きも、基本的にはこの記事で解説したことが原因で発生しています。

ブレーキ鳴きのお申し出を聞いたプロの整備士であれば、ひと通り異常がないかの確認をおこないます。

たしかに実際にクルマ側に何らかの問題が発生していて、ブレーキ鳴きが発生していることもあるにはあります。

しかし、この記事をとおしてもっとも伝えたいことは、 お申し出のあるうちの20件中19件(だいたいの感覚です、残り1件は実際にパッド残量が少ない、他の要因であることはかなり少ない)は、使用過程においてブレーキ鳴きはどうすることもできないのが整備士のホンネであるということです。

治る治らない以前に、異音ではなく作動音です。

甲高いキーキー音は、人間の耳には不快な音なので、ブレーキが鳴くこと自体が受け入れられないという方もいらっしゃるでしょう。

深夜の住宅街での自宅ガレージへの駐車時にキーキーとブレーキが鳴かれたら、ご近所さんにも迷惑をかけてしまいます。

整備士ヒロのアイコン画像整備士ヒロ

どうにかしてあげられるのなら、どうにかしてあげたいのも整備士のホンネです。

どうかブレーキ鳴きという事象に対して正しい理解をしていただけますようよろしくお願いします。

この記事を書いた人

元某国産ディーラー→現在は高級欧州車ディーラーの現役自動車整備士。
合格率3%とも言われるメーカー最上位資格を取得。

整備の技術・知識を競う全国大会にも会社代表で出場するなど、整備士としてやることはやりきってきました。

それらを活かしたカーライフに役立つ知識や、ライフスタイルに関する情報を発信しています。

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