新型マツダ3(MAZDA3)デビュー! なんでアクセラじゃないの?車名変更の理由は?現役整備士が徹底解説
2019年5月24日、令和という新時代の幕開けと時を同じくして、マツダから新世代商品群の第1弾として「MAZDA3」がデビューしました。
コンセプトカーがそのまま市販化されたようなマツダらしい美しいデザインが、新時代を象徴してるかのようです。
ただ気になるのが、これって間違いなく元はアクセラですよね。
なぜ、マツダはアクセラとして出さずに、ここにきて車名を大きく変更してデビューさせたのでしょうか。
みなさんが納得できるように徹底的に解説しましょう。
目次 《マツダ3(MAZDA3)はすでに存在していた車名》
車に詳しい人であれば、当たり前のことかもしれませんが、マツダ3(MAZDA3)はすでに存在していた車名です。
どういうことなのか詳しく紹介しましょう。
アクセラは日本以外ではMAZDA3だった
日本では、ファミリアの後継として2003年にデビューしたアクセラですが、実はアクセラの先代モデルにあたるファミリアの時代から、このカテゴリーのマツダの車には「3」の数字が与えられていました。
どういう訳かと言うと、海外向けには数字で車名を区別しており、ファミリアは「MAZDA 323」として販売されていました。
日本国内でファミリアからアクセラに車名変更され、イメージの刷新をはかったタイミングで海外向けの車名もよりわかりやすくシンプルな「MAZDA3」になりました。
日本でも、このネーミングを好んでわざわざエンブレムを「AXELA」から「MAZDA3」に付けかえるユーザーも少なくありませんでした。
なぜ日本と海外で車名が違うの?
日本国内で販売されている車名は、日本人向けにネーミングされたものです。
それらは海外に出ると、現地の言語だと恥ずかしい・ネガティブなどマイナスイメージとなる場合があります。
また、商標登録に引っかかる場合もあってやむなく変更となることもあります。
ドイツのBMWやメルセデス、アウディは英数字でネーミングされていますが、一目でその車の車格やエンジンの排気量がわかります。
ドイツ人らしい非常に合理的な考えですが、それと同時に海外展開するときに商標登録に引っかかりにくくなります。
さらに、英数字を使ったネーミングによるカテゴリー分けは、国に関係なくラインナップが非常にわかりやすいものとなるメリットがあります。
マツダもこうした考えを元に海外では、アクセラをMAZDA3として販売していたのでしょう。
ほかにもある日本と海外で車名の違う車
このように車名の異なる車は多くあります。
マツダ内ではそれぞれの現行モデルが以下のようになっています。
- デミオ→マツダ2(MAZDA2)
- アテンザ→マツダ6(MAZDA6)
- ロードスター→MX-5
おそらく、国内マツダ3(MAZDA3)の販売を皮切りに、デミオ・アテンザも近々車名変更となると予想されます。
ほかのメーカーも車名が異なるものはたくさんあります。
- トヨタ ヴィッツ→ヤリス
- トヨタ アクア→プリウスC
- 日産マーチ→マイクラ
- ホンダ フィット→ジャズ
それぞれ車名の異なる理由は様々です。
ヒロ
《新時代を生き抜くためのブランド戦略》
マツダは過去に何度も深刻な経営危機に直面してきましたが、そのたびに力強く乗り越えてきました。
マツダは下取りが安い、値引きが多い…
そんなネガティブイメージを払拭するための新世代商品群として2012年に登場したのが、今もなお高い人気を誇る初代CX-5でした。
CX-5以降のマツダのブランディング戦略
CX-5はスカイアクティブテクノロジーをすべて採用した初の車としてデビューしました。
今でこそ「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」や、「スバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)」とうように、どのメーカーでも似たような開発・生産がおこなわれるようになってきました。
その先陣をきったのが、マツダのスカイアクティブテクノロジーを使ったコモンアーキテクチャーで、各メーカーが見本としたのもマツダです。
「すべての車種を縦軸で統一する」一括企画のコモンアーキテクチャーにより、非常に合理的なかたちでマツダのラインナップは、今までと比べものにならないくらいに車両品質が向上しました。
たった数年のあいだに、マツダの乗用車ラインナップはすべてスカイアクティブテクノロジーが搭載された新型車にフルモデルチェンジされたことからも、そのすごさが伝わります。
今まで長きにわたって国内で定着していたマツダへのネガティブなイメージは、完全に払拭されたといっても過言ではありません。
それを証明するのが、マツダ車の下取り価格の大幅な向上です。
さらに、残価設定型ローンでは3年後の残価率55%を保証(一部をのぞく)しており、これもかなり驚異的な高値です。
マツダのブランド価値経営
マツダは決して大きな自動車メーカーではありません。
世界全体で見たシェアはわずか2%です。
国内でも5%前後、トヨタはおよそ50%なのでかなり大きな差があることがわかります。
そういった中で、マツダはあえてシェアを取りにいくという当たり前の発想をやめ、今いるマツダユーザー・マツダファンが納得する車づくりをしようと決めました。
マツダの車を購入するターゲットを明確にした車づくりは、トヨタの80点主義とは真逆の発想とも言えるでしょう。
ロードスターを起源とする「走る楽しさ」と日本らしい「デザインの美しさ」を、すべてのマツダ車共通のブランド価値とした近年のマツダは、メーカーの思惑どおり各方面で高い評価を得ています。
これは国内のみならず海外でも同じで、ロードスターはなんと
ワールドカーオブザイヤー
ワールドカーデザインオブザイヤー
のW受賞という日本車初の快挙も成し遂げています。
《なぜこのタイミングでアクセラはMAZDA3になったのか》
この記事の核心部分である、なぜいまMAZDA3なのかを解説しましょう。
MAZDA3は第7世代の第1号モデル
初代CX-5以降、発売されたマツダ車は「第6世代商品群」としてひとくくりにされます。
第6世代でガラリと車がかわり、大きくブランド価値が高まったマツダ車ですが、第7世代のトップバッターとしてデビューしたMAZDA3には、そこからさらにもうワンランク上にいくための使命が与えられました。
第7世代は第6世代ともまたガラリと大きくかわり、より一層いままでのマツダとは違う高い次元での価値観をユーザーに提供してくれることでしょう。
ヒロ
当初酷評だったマツダコネクトも、まったくの別物に進化しました!
そこで、従来の「アクセラ」のネーミングを世界統一の「MAZDA3」とすることで、イメージの刷新と「いままでとは違う」という強いメッセージを伝えたかったのです。
MAZDA3の開発主査の別府耕太氏によると、
MAZDA3で目指したのは「マツダブランドを飛躍させる」
ことだそうです。
車好きのためにマツダブランドの向上をはかる
こうして今後さらにブランド力を高めていくマツダですが、マツダは決して大きなメーカーではありません。
特定の車種だけが評価されるようでは、その人気が単発で終わることで、また経営危機を迎えることも考えられます。
そのために重要なのは「マツダブランド」の向上です。
いつまでもロードスターに代表されるような、運転して楽しい車を作り続けられるように…
第7世代車種デビューという区切りで、メーカー名をそのまま車名に使うという手法に舵をきったのです。
アクセラという単独の車ではなく、マツダというブランドの中にある車で、その車は高い次元で完成された芸術作品だと。
それが認知され広まることは、つまり「アクセラ(MAZDA3)」の価値が高まるのではなく、「マツダブランド」の価値が高まることになります。
今後、アテンザとデミオもマイナーチェンジなどのタイミングで「MAZDA6」「MAZDA2」と名前をかえてくるはずです。
欧州プレミアムブランドにならったシンプルで分かりやすい車名
日本人的には、無機質な名前がどうしても受け入れられない人もいるでしょう。
しかし、慣れてしまえば車に興味のない人にとっても、車名でその車の立ち位置(車格)がわかるようになるので、非常に合理的で便利でもあります。
SUVブームの中で、マツダはCXというネームをSUV車に冠しています。
CX-3
CX-4(中国専売モデル)
CX-5
CX-7(国内廃盤モデル)
CX-8(国内専用モデル)
CX-9(海外モデル)
こうして、数字の順に並べるだけで車格が一目瞭然です。
この車名のラインナップに大きな違和感を感じてどうしで受け入れられない人は、今さらいないはずです。
SUV以外の車でもシンプルに数字で車格を表すことは、決して変なことでも奇をてらったことでもありません。
《MAZDA3のこれからとまとめ》
MAZDA3の名が与えられた新型車は、まさにマツダの命運のカギを握る車と言っても過言ではありません。
世界的にみて最量販車種であるMAZDA3は、欧州プレミアムブランドを支持し、目の肥えた新たなユーザーを満足させることができるかに注目です。
それだけの実力は十分に兼ね備えているはずです。
今後、市場の声を受けて年次改良によってさらに完成度の高い車に仕上がっていくことは間違いありません。
MAZDA3、いやマツダというブランドがどうなっていくのか、車好きは目が離せませんね。
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この記事を書いた人
元某国産ディーラー→現在は高級欧州車ディーラーの現役自動車整備士。
合格率3%とも言われるメーカー最上位資格を取得。
整備の技術・知識を競う全国大会にも会社代表で出場するなど、整備士としてやることはやりきってきました。
それらを活かしたカーライフに役立つ知識や、ライフスタイルに関する情報を発信しています。
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